賃貸契約の契約の種類(修繕に関して)

一般的な契約では、賃貸人によって入居前修繕が行われた上で、市場相場での家賃で募集。入居中に修繕事項が発生する場合、基本的には賃貸人が実施します。当然、賃借人による設備の変更やDIYは禁止され、退去時の原状回復は原則賃借人負担となります。(通常損耗、経年劣化を除く)

サブリースの場合もほとんど変わりません。

故障が無く、通常生活は可能な物件を若干市場相場よりも下げて貸し出す現状有姿(現状貸し、現状渡しとも言われる)の場合は、賃借人負担とされるので、自由にDIYが行えます。

契約時には、どこからどこまでが賃貸人の負担になるか、書面にて交わす事が望まれ、怠った場合には、トラブルになる事が多いです。

自由とは裏腹に、悪い表現になりますが、瑕疵担保責任案件を賃貸物件として提供する立場になる為、契約不適合責任を問われる事の無い説明責任義務が生じるという事を考慮し、真摯に説明した上で合意し、契約する事が重要になります。

賃貸借契約の更新期間

賃貸借契約には普通借家契約と定期借家契約があり、一般的には普通借家契約が多く、契約の期間に関して1年以上の賃貸借期間が定められている以外、期間に関して特に法的には定められておらず、一般的には2年更新が多く、更新時期毎に契約内容の見直しを行う場合があります。

普通借家契約は、書面を交わす以外に口頭での契約も可能。ただし紛争を防止する観点から、契約書を作成し、契約条件を明確にしておくことが望ましいです。

定期借家契約は文字通り決められた期間のみの契約となり、1年未満の契約も可能で、きっちり公正証書等の書面による契約を交わす、賃貸人は「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書等とは別に、予め書面を交付して説明しなければならないとあります。

借地借家法

第二十六条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

(解約による建物賃貸借の終了)

第二十七条 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。

 前条第二項及び第三項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。

契約を更新しない通知が無い限りは、自動更新となります。

改正民法622条の2 敷金

【改正民法622条の2】
賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。


一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。


二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。


2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

例えば家賃の滞納が発生した際、敷金を充当する事が可能で、これは入居者側から充当してくれとは言えません。

通常の使用や経年劣化ではない、使用上の故意による原状回復に充当する事も可能性としてあります。

戻る

通常損耗や経年変化

新たに、賃貸物件を借りる際、退去時には原状回復義務が生じる事を理解しておきましょう。

設備の機械的な劣化。物件に備え付けられている設備、換気扇、給湯器、コンロ、照明器具、エアコンなど、故障するものは多々あります。

残置物として、そのまま置いておくので使えるようなら使って下さい的な物品は、修理の場合、入居者(賃借人)負担になる事もあります。

契約時に確認し、壊れそうであれば事前に撤去してもらい、新たに入居者が購入し使用しているものは退去時に入居者が撤去する事になります。

備え付けられている設備で、家賃に含まれているものは明確にし、家賃に含まれているのであれば故障の際には家主や管理会社に通知し、直ちに改善してもらいましょう。

床材や壁在に関して、床材とはフローリング、カーペット、畳、クッションフロアなどを指します。

家具などはその床材の上に置くものなので、置いたために生じる凹みや置いていない箇所に生じる日焼けなどは通常の使用で発生する損耗となります。

電化製品、特に冷蔵庫やテレビは静電気が発生しやすく、設置面の背面にホコリなどを呼び寄せます。これも通常の使用によって生じる現象です。

洗面化粧台や洗濯機パン、浴室、キッチンにコーキングが敷設されている場合がありますが、劣化している場合は、家主や管理会社に通知し、改善してもらいましょう。

放置しておくと、水分が浸入し、劣化を速めてしまう事になります。

契約時に柱、壁面、天井面、建具などにキズがある場合にも、入居前に改善してもらいましょう。

入居中に家主や管理会社が変更される事があります。

退去時の事も考え、未然にトラブルを避ける努力はしておきましょう。

一方で、契約書に通常損耗や経年変化について入居者に原状回復義務を負わせる「特約」が記載されている場合もあります。

原状回復とは

国土交通省のガイドラインにおいて「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。

賃貸物件に関しては、原状回復は賃借人が借りた時の状態に戻す事を指します。

通常の使用による損耗や経年劣化は原状回復の範囲外となります。

故意・過失、善管注意義務違反による復旧は、原状回復義務を負う賃借人が行うものとなるので、契約内容によりますが、賃借人自ら業者を選択し、復旧させる事が可能です。

通常の使用による損耗や経年劣化については、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反に当たらないので賃料に含まれる。

つまり通常の使用による損耗や経年劣化については、賃貸人が考慮し、賃借人に責任を押し付けないようにする必要があるので、それを踏まえた上で契約せねばなりません。

例え故意でなくとも、賃借人が発生させた損耗・毀損に関しては、放置する事によって悪化させる可能性があります。

損耗・毀損は発生時に家主又は管理会社に通知。

例えば、トイレや洗面で所持物を落下させ、床材が破損。通知せず使用し続けた場合、範囲が広がる可能性があります。

水栓や換気扇など壊れたまま使用し続ける事は、善管注意義務違反となります。

水栓が壊れている事によって、周辺のものが傷む。

換気扇が壊れている事によって、湿気が籠り、カビが生えるなど、退去時のトラブルの原因となります。